*武士の花*~花は桜木、人は武士~
弘吉から、しきたりや作法を教えてもらった

総司も、平助も「へぇ~」と口を開け

わかってんのか心配になるほど、のん気だった

弘「お前ら、渉に感謝しろよ!
女将さんや揚屋に頭を下げてくれたんだからな!さっさと済ませて、俺らと関わらないでくれよ!なんだかんだ言っても、渉は甘い!どうせ、心配だからついて行くんだろうよ!
本当…なんだって、狼の世話なんか焼きたがるかね!」


渉の奴、そこまでしてくれてたのか…




「入るぞ」




戻って来た渉は、ぜんざいとお茶を4つと沢庵を持ってきた



「ほらよ」



ぶっきらぼうだが、弘吉の言うように
なんだかんだ甘いんだと思うと

渉が可愛く見えるものだ


弘「何で4つ?」

渉「土方さんは、ぜんざいより、沢庵ぽいだろ?」

沖「当たりです!!」

藤「すげぇ!!」

渉「まぁ、俺のぜんざいなら、食えると思うけど?食えなかったら俺が食う!」


食べ始めて、感動した

こんな旨ぇぜんざい食ったことねぇよ!!



結局、全部食べた



沖「とっても、美味しかったです!!」

渉「どういたしまして
さて、俺も着替えてくる」

弘「やっぱりな!!」

渉「当たり前だろ!
店を潰されてたまるかよ!」


口は悪いが、心配してるのが伝わると
有難く聞こえる


渉は、なぜか窓から2階へ上がった


しばらくして



「よっとっ!!」



着物を着て、降りてきた


弘「身軽なこって……」

渉「慣れてますので……」


弘吉が髪を結い、渉が化粧をしていく


弘「よし!出来たな!」

渉「寝る」

弘「へいへい」


弘吉が丸めて、縛った布団を出すと
それに抱きつき、化粧と髪が乱れないように寝始めた


藤「へぇ~俺も寝たい」

渉「お前らは、着物に慣れないと!」




スースーと寝息が聞こえ始めてから

弘「渉は、ここの置屋の天神
桜天神と呼ばれている」

街中から、頼まれたことを引き受けて
やっているんだとか

だから、有名なんだと納得した


弘「渉に恥じかかせんなよ!」


土「あぁ、情報を得るだけだ」




「渉様」

弘吉に突かれ、渉が起きた

弘「渉は、いねぇよ!入っていいぞ!」

かんざしの刺さり具合から、太夫と思われる女が入る


「おねぇはん、どないしはったん?」

「桜が仕事に出れるて聞いたから!会いにきたんよ!どうせ、渉様のところで寝てるんやと思ったわ!
渉様かて、男はんやし襲われるで!?」

「うふふっ 心配あらしまへんえ
おねぇはんみたいに、色気はあらしまへんし、お手つき前ですし?」

「桜の初めては、うちが見極める!
もう!!こんな、男の部屋やのうて、うちの部屋でねよし!」

「うち、渉様から、新造さんの世話を頼まれてますんや」

「寝てて世話できるんかいな?」

「あら、ほんまやわぁ
ほんなら、起きてます!おねぇはん?
渉様がぜんざい作ってはったわ!」

「まぁ!!ほな、桜!またね!」

「へぇ、また」






太夫が部屋を出ると、すぐに布団に掴まる



弘「みたか?こういうことをするんだ!」

沖「可愛らしい感じでよかったですね!」

藤「できるかなぁ…喋れるかなぁ」




渉「出来なくても、やれ!!
  俺がやってんだから、出来る!!」




寝言か?ってくらい、もぞもぞしながら
喋る






あぁ 照れてんのか









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