*武士の花*~花は桜木、人は武士~
「沖田!!てめぇ!!寝てろって!!」

「もう熱もないし、寝れませんよ」


朝から総司と渉がうるさい


昨日は、どうした?って聞く機会を逃した


今朝、渉が朝餉を作ってくれた

皆、大喜びでおかわりする


総司も起きて、広間で食事した


「沖田、食べたら寝ろよ!」

「ええーーー!!!」

「近藤さん!!」

「総司、寝てなさい!」

「はい」



渉は、総司の扱いを覚えた












昼過ぎ、渉と近藤さんが庭で話していた


また


何かの前触れか?




廊下で2人を見ていると


「歳…渉と出かけてくれ」



訳がわからないまま、渉と来たのは

七夕の時に来た河原


「土方さん、刀貸して」


俺の刀で、前髪をザクザク切っていく

何やってんだ…?


紙で刀を拭き取り、切れた髪を振り落とす


顔を上げ、こちらを向いたとき




ゾクリ







俺は、背筋が凍りついた

「やっぱり……土方さんなんですね」

哀しみをこらえ、渉が笑う



「双子ですが…髪型違ったんで
わからなかったですよね」



京に来て、ひとつきくらいか?俺は、近藤さんを守る為、総司と殿内という男を暗殺した

「あの人、刀を閉まっていましたよね」

そう、殿内は旅支度で、刀は袋に入れていた

そんな殿内ひとりを俺達2人は、襲った

その時、殿内を庇おうと飛び出して来た女こそ、今……目の前にいる


渉の妹……七重



俺は、女だとわからず斬ってしまった


その上…渉を見ても、七重を思い出さなかった


「また、身請けの話があるんです
今回も、いい人なんです
妻としてでなくて、世話人として行きます
土方さん… 
近藤さんが、土方さんにはちゃんと言うべきだと言われたので、はっきり言います!
貴方に会うまで、貴方を怨んでいました」



真っ直ぐ俺を見て、言った



「この前も言ったけど、会ってからは
土方さんが好きです
ご心配なく、仇討ちとか考えてないから」


微笑んで、俺の刀を差し出してくる

刀を受け取った


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