*武士の花*~花は桜木、人は武士~
「疲労と心労が重なったんでしょう」
山崎が渉のおでこに手をやる
「熱もないし、少し休ませましょう」
大事に抱き抱える
布団に降ろすと、少し目を開け
「街が燃える……」
そう、呟き魘される
弘吉を先に帰した
近藤さんは、我が子か!ってくらい心配して、大丈夫かなぁと山崎に何度も聞く
倒れた時より、呼吸は整い楽そうだ
永倉と松原達は、怪我人もなく
無事に帰ってきた
渉のおかげだが、こうして先が見える為に
苦しみから耐えている
山崎に看病を任せて、それぞれが部屋に戻る
夜中、やはり渉が気になり様子を見に行く
目を覚ました渉が、廊下の柱に体を預け
冷たい目を庭に向けていた
「具合は、どうだ?」
気配に敏感だから、気づいていたようで
「悪くねぇ」
それは、良くもないということだろう
「渉…」
昼間ザクザクと切った前髪を触る
「土方さんになら、斬られていいよ」
「斬らねぇって……」
「俺は……土方さんに斬られるなら
……幸せだ」
「こっち見ろよ!」
強引にこちらに向けた、渉の表情が月明かりでくっきり見えた
「俺を……斬って」
多分、これが本当の渉だ
昼間に明るく振る舞うが、夜ひとりになると、生きることを手放そうとする
ずっと… 我慢して……
「俺を見ろよ
先のことなんて、どうとでもしてやる
渉… 」
ちょっとわがままな俺が、無責任な言葉と
一緒に口づけを渉に贈る
唇が離れるとき
「もう、好きじゃないから……
優しくしないで……
本当、色男はモテることしかしねぇ
勘弁してくれよな……
俺は、身請けしてくれる人を好きになる」
俺の胸を押し、辛そうな表情でぽつり
山崎の部屋へ向かって行った
山崎が渉のおでこに手をやる
「熱もないし、少し休ませましょう」
大事に抱き抱える
布団に降ろすと、少し目を開け
「街が燃える……」
そう、呟き魘される
弘吉を先に帰した
近藤さんは、我が子か!ってくらい心配して、大丈夫かなぁと山崎に何度も聞く
倒れた時より、呼吸は整い楽そうだ
永倉と松原達は、怪我人もなく
無事に帰ってきた
渉のおかげだが、こうして先が見える為に
苦しみから耐えている
山崎に看病を任せて、それぞれが部屋に戻る
夜中、やはり渉が気になり様子を見に行く
目を覚ました渉が、廊下の柱に体を預け
冷たい目を庭に向けていた
「具合は、どうだ?」
気配に敏感だから、気づいていたようで
「悪くねぇ」
それは、良くもないということだろう
「渉…」
昼間ザクザクと切った前髪を触る
「土方さんになら、斬られていいよ」
「斬らねぇって……」
「俺は……土方さんに斬られるなら
……幸せだ」
「こっち見ろよ!」
強引にこちらに向けた、渉の表情が月明かりでくっきり見えた
「俺を……斬って」
多分、これが本当の渉だ
昼間に明るく振る舞うが、夜ひとりになると、生きることを手放そうとする
ずっと… 我慢して……
「俺を見ろよ
先のことなんて、どうとでもしてやる
渉… 」
ちょっとわがままな俺が、無責任な言葉と
一緒に口づけを渉に贈る
唇が離れるとき
「もう、好きじゃないから……
優しくしないで……
本当、色男はモテることしかしねぇ
勘弁してくれよな……
俺は、身請けしてくれる人を好きになる」
俺の胸を押し、辛そうな表情でぽつり
山崎の部屋へ向かって行った