近づく距離
3
私が来たことに気づいたのか、ゆうくんはこちらを振り向いた。
「さくら、はやく帰るぞ」
「え、ゆうくん待ってたの?だってみんなと合コンに行ったんじゃ…」
「そんなめんどくさいところに俺は行かない。お前傘忘れただろ?今朝俺のところにおばさんが届けに来た」
「教室で渡してくれればよかったのに」
「いや持ってきてない」
「え、じゃあどうやって帰れば…」
「二人で一つの傘に入ればいいだろう?」
…な、なにを言ってるんだこの人は!人の気も知らないで!
「ほら、はやく」
恥ずかしさがあっても彼の元に駆けてしまうのは惚れた者の弱みなんだろうか。