幼なじみはアイドルの先輩
改札を抜け、立ち食い蕎麦屋の隣に……あった!あった!


外で営業していた時代の準備中というご愛嬌はさすがに辞めてるか。


「…………知った人間しかいねーなみっち」


真面目に営業してても、店内は誰もいない。


カウンターで香がココア飲んでる以外はな。


会うはずはさらさらなかったのに。


「雰囲気どう?外でやってた時と同じだよ」


香に言われるまでもなく、入る前から見えてわかってた。


光宏は大事なところでは冒険しない男だからな。


「儲かってたんだな」


「お前の稼ぎほどじゃねーよ」


否定しない。


駅構内にあるのがメリットだから、光宏も強気に出られるんだろう。


「ねえ、杏の左手は治ったの?」


「包帯はもう取れて、傷も消えかけてる。月に1度診察に行ってるよ。光宏、ブラック頼む」


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