幼なじみはアイドルの先輩
個室に案内されて閉めきっている引き戸を開けようとしたら、うまく開かない。


仕方なく両手で強めに引いたら引き戸が勢いよく開いてガチャーンと鈍い音を出させてしまった。


いきなりのことで中にいた全員俺に目を合わせた。


「遅くなって悪い。寒さでこれも上手く開かねーなあ」


中に入って引き戸を閉めようとしたら、今度は流れるように閉めることが出来た。片手だけで。


……空気が重くなるようにしたいのか?


「お疲れ様です。私らも今来たばかりです。今日は晴れるって言ってたんですけどね」


榊は何事もなかったかのようにあえて触れようともしない。


そういうパターンなら俺もそのように振る舞うだけだよ。


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