幼なじみはアイドルの先輩
つい乗せられてしまったけど、いざ外へ出ると弱気に。


「あたしらも三十路前なんだし、いい大人が無理やりにでもモチベーション高めないともたなーー」


杏の食べる動きが止まった。


すぐさまトイレに駆け込む。


ちゃんと噛まないからだよ。


「そばが~」


「落ち着いて食べな」


「すいません」


「で、4月1日からはどうするの?」


「…………わかりませーん」


選抜祭で燃え尽きる匂いが少し…………。


「あたしは辞めても代わりはいるけど、あなたーー」


「ゆかり、一緒に旅行行こうか?」


「急にどうした?」


「…………何でもない。今の聞かなかったことにして。とにかく選抜祭まで自分中心に考えるからそのつもりで。お水飲ませて」


「はいはい」


これから初の大舞台に臨む姿勢は素晴らしいけど、こんなに後が不安になるのも初めてだ。


手を取り合って最後の舞台に乗り込むしかないみたい。


その先は神様ももしかするとお手上げかもしれない。





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