幼なじみはアイドルの先輩
「何でかはわからないけど、愛結さんと劇場盛り上げていくから、ゆかりもみんなを盛り上げてよね。まさか卒業なんて考えてないよね?」


回りくどい言い方すればよかったかなあ。


あまりにストレートだからゆかりも困るよね。


ゆかりは口の周りについたクリームをティッシュで拭いてまじまじと私の顔を見つめる。


「知りたい?」


「知りたい!」


「ホントに〜?」


「知りたいなあ」


ゆかりが身を乗り出して私に顔を近づけるよ。


ちょっとドキドキするんだけど。


今なら口づけしてもいいよ。誰も見てないーー


「……ゆかり?」


ホントに頬に口づけしてきたよ。


甘いクリームの匂いがした。


なんか力が抜けてく感じがするんだけど。


「あたしはまだまだやるよ!」


力強いお言葉をいただきました。


お礼に私も……。


「ちょ……杏……照れるよ」


ゆかりの頬に口づけのお返しです。


「卒業する時は一緒ね。あたしを引っ張ってきた本人が先にいなくなるなんて嫌だからね」


「わかりましたよ。杏お姉様に従います」


立場は違うけど、2人で新たな誓いを立てた。


2人が卒業する時はてっぺん取ってる時だと自分に言い聞かせていた。


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