幼なじみはアイドルの先輩
香は俺がつまむことを見越して、小皿と割り箸も持ってきた。


俺の漬物好き覚えていたんだな。


捨てた旦那の好みを忘れてないなんてな。ありがたいやら、そうではないような。なんか複雑だ。


香は小皿と割り箸を持って3種類バランスよく小皿に漬物を盛りつけて俺に差し出した。


3種類とも食べたよ。


「どう?」


「……旨い!最高!!」


「よかった〜」


表情がほころんだ香は、俺の隣に座ってきた。


心臓がバクバク鳴ってるのをどうにかごまかそうと漬物を食べる。


「そしたらさ、亨おじさんの自宅に送るし、取りに行ってよ。おじさんには連絡しとくからさ」


俺が頷くと、香も頷いて席を立った。


ほんの少しの間だったが、本人は思ってないが元嫁のソフトな眼差しに完全にやられた。


いかんぞ。絶対いかんぞ。


頭ではわかってる。だが、オスとしての本能はまだ現役のままだというのを娘の実家で思い知らされてしまった。


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