幼なじみはアイドルの先輩
最後にどでかい弾を発射してきたな。


素人の香がどうして芸能事務所を知ってるかと言うと、水原家と桂木(かつらぎ)家が親戚関係だからだ。


亡くなった親父同士が兄弟関係だったのが縁だそうな。


今の事務所社長は杏を小さい頃から溺愛してたらしいし、今でも遊びに行き来してるかもしれない。


俺自身も親交は当然あるが、社長が杏を受け入れてくれるか。


第一、あそこはアイドル所属してないぞ。


にも関わらず影響力ある上の中ランクの事務所だ。


「大事な1人娘ですので、信頼できるお方にお任せするのが親の責任ですので。反論があればどうぞ」


圧倒的な立場の違いに俺は黙って受け入れるしかなかった。


「話は終わったし、帰るわ。ご飯作らないと」


「そうだったな」


1階へ降りると、光宏がモップがけをしていた。


「うまい具合にやんだよ」


確かに窓から日が差してた。


「じゃあ、お元気で」


香は路面状態を確認して小走りで駅前方面へ。


「日帰り?」


「いや。泊まる」


「そっか」


「晴れてるうちに戻る。1人で晩酌ってのも悪くなさそうだしな」


店を出て、再び準備中に戻しました。


今日は誰も来ないだろう。


成長している娘に思いを馳せながら足元に気をつけてホテルへと急いだ。

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