幼なじみはアイドルの先輩
「失礼します……」


モヤモヤが渦巻いてるのを胸に手を当てて何とか抑える。でないと、大先輩に対して失礼。


うしおさんは……。


楽屋の隅っこで背を向けてあぐらかいてる。


背中丸くしてゲームしてる。


扉がキイッと少し開く音がした。


「入って挨拶しなさい」


普通の声量ではいけない空気が狭い空間に蔓延してる。


小声で喋ることもためらった私はコクりと小さく頷いた。


靴を脱いで足音を立てないように歩き、うしおさんの背後に。


「おはようございます」


「誰や」


振り向きもしない。


ややドスの効いた声。


自分の世界を邪魔しに来てるからそうなりますよね。


誠意かどうかはわからないけど、まずは正座してから挨拶することにした。


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