幼なじみはアイドルの先輩
「では始めてください」


ちょうど真正面に掛け時計があります。


あそこを見据えて臨めばたぶん修羅場にはならないでしょう。


控え室でのちょっとした修正を生かして自分なりにやりきった。


5分で終わった。


「ありがとう。私からは特にないけど、阿久津君は?」


「私も特には」


「いいですか?」


手を挙げましたよ。


ボスのお言葉をとくと聞きましょう。


「全体的にまとまってて個人的には見やすくてよかったです。ですが、目に力がこもってないです。それではいくら上手くてもそこでおしまいです。私からは以上です」


なるほど、そう来ましたか。


「水原さん、何か一言ありますか?なければ終わりますよ」


「いいですか?私は中学生の時にちょっと目の病気になり、視力はあまりよくありません。でも人並みに生活出来ますので改善出来る点があれば改善します。でも、書類には目のことは書いてあり、取り上げてほしくないと書いたはずです。……わたしからは以上です」


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