幼なじみはアイドルの先輩
ちょっとかわいそうな気がしてきた。


「杏ちゃん、聞いてる?ほどほどにね」


「あ、はい。大丈夫です。飲みません」


私は悪くないのに、火の粉が飛んできそうなので式場到着するまでおとなしく寝てます。


「辞めないで」


「辞めないで」


あれ?私は車内にいるはずなのに、どうして外に。


真帆さんは?


亨おじさんは?


辺りが白い霧に覆われ……。


いつか見た光景とおんなじだ。


「辞めないで」


「辞めないで」


「あなた辞めないで」


また耳から離れないよ。


そして、どこからともなく無数のやせ細った腕が私の首もとを掴みにかかってくる。


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