幼なじみはアイドルの先輩
「おう!ここだ」


奥から桂木が呼んでるよ。


こんな狭い空間でお前の愚痴なんて聞いてやれんぞ。


「こんな穴場な居酒屋よく見つけたな」


俺も大人ですから、いきなりけなすことはしないよ。


ここの居酒屋はその日限りでも、どこに縁があるかわからんしな。


「親父は元俳優なんだよ。見てわかると思うが、ドラマや映画はこわもての役が多くてな。ある日長年の夢だった居酒屋の店主になるって役者辞めたんだよ」


「親父さんホントですか!?」


「……恥ずかしながら」


仕込みで視線は下に落としてるが、わずかだがニヤリとしたぞ。


「店はご覧の通りだが、味は俺が保証するぞ」


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