幼なじみはアイドルの先輩
白髪が大分目立つようになったが、俺とは同い年。


しかし、血の気はいまだ衰えることをしらない。


俺と香が元夫婦だってことも業界で唯一知ってる。


1番親しくて、1番やりにくい相手だ。


ソファーに腰かけると、桂木は切り取った記事を自分の胸ポケットにしまいこみ、挽きたてのブラックコーヒーをマグカップに入れ始めた。


「あらためて、オーディション合格おめでとう」


「ありがとうございます」


「杏ちゃんがアイドルなんて夢のようだよ」


「私も、正直まだ夢を見ている気分です」


入れたコーヒーの香りを確認して持ってきた。


「さっそくだけど、みんなと話し合った結果、杏ちゃんをここの事務所所属で頑張ってもらいます」


「よろしくお願いします」


2人はがっちり握手を交わした。


事実上の契約成立。


アイドルグループGGの水原杏が誕生したのに晴れやかな気分にならん。

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