幼なじみはアイドルの先輩
桂木はため息をついて自分の机に腰をおろした。


明確に答えられるはずもなかった。


俺の答えを期待した桂木はまた深いため息をつく。


「もう終わったことをとやかく言わない。だけど、10年だ。10年でアイドル活動は終わらせる。杏ちゃんはこんな世界にいつまでもいるべきではない。お前だってそう思うだろ?」


コーヒーが苦いのはなぜだ?


明確に答えられない俺への罰なのか……。


「幸いにもお前の考えてる構想と桂木エージェンシーとしての考えは近い。仲間らと一線を画すアイドルに育てるつもりだよ。お前たちの関係も絶対マスコミに漏らさないから安心しろ。万が一の事態が起これば杏ちゃんを守るためにいろいろ手は打つ」


「助かる」


素直に感謝するべきだが、負い目が大きくて桂木を直視出来ず額縁に目が行ってしまう。

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