幼なじみはアイドルの先輩
元日のテレビ番組の収録の時には血色がよかったのになあ。


「最後まで観るのか?」


「とんでもない。騒がれる前に退散ですよ」


「だよな」


「しかし、世の中わかりませんね。何がブレイクしてもおかしくない時代になっちゃいましたよ」


「そうだな」


「勢いに任せて公共放送さんのオリンピック主題歌獲りましたしね」


「ああ」


俺とサブローが夢見てたオリンピックの曲を手掛けるのを、まさかあいつが。


何食わぬ顔してるのが屈辱以外の何物でもない。


外も中の人間の心も大荒れの中でアルテのライブがスタートした。


奴の目的はほかにもある。


「みんな、来てくれてありがとう!!今日も盛り上がっていこうね!!」

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