彼は高嶺のヤンキー様2(元ヤン)
「ど、どうしたの、その英英辞典?」
「あ、これ借りれたんだ。」
「え!?貸してもらえたの!?」
私が両隣のクラスから、レンタルを断られていたのを見ていたマキちゃん。
だから、安心させるために言った。
「うん!そうだよ。貸してもらえた。」
「・・・誰に?」
「誰って、同じ委員会の子だよ。G組の。彼女風邪で休んでたから、交換条件で連絡ノートを貸すことになったんけどね~」
「チッ!!」
ガッターン!
突然、大きな音がした。
私が言い終わるのと同時。
「え?」
(今度はなに!?)
音がした方を見れば、机に座っている女子が椅子を蹴り倒していた。
行儀が悪い。
(ん?この人って確か・・・)
「うるせぇーぞ、月乃亜(のるあ)。」
のるあ?
低い声が、つむいだ名前。
言ったのは、少し離れた場所で仲間としゃべっていたらしい男。
(飯塚愛抱夢(アダム)だ。)
それで思い出す。
そうだ。
あんまり教室にいないけど、この子は~
(渕上月乃亜(ふちがみるのあ)さん。)
美人で、気が強くて、オシャレ。
それに加え、どこかのレディースの総長とか言われてる人で~
―逆らっちゃいけない女番長だよ!?-
(取扱注意が必要だという女の子。)
〔★めんどうくさい子だ★〕
マキちゃん達が言ってた、関わるとろくなことがない子だ。
そう思っていたら彼女と目が合う。
その時ハッキリと、彼女は私をにらんだ。
(なんだろう・・・??)
そのことを考える前に、チャイムが鳴る。
英語の教師が教室に入ってきたので、席に着いた。
引っかかったけど、和英辞書を借りれたおかげで先生に怒られなくてすんでよかったと思う。
ホッとしながら、貸してもらった辞書で修業を受ける。
勉強モードになっていたのわからなかった。
その視線に。