彼は高嶺のヤンキー様2(元ヤン)
「すごいですね・・・占いが出来るって。」
「あくまで気休めだよ。」
シミジミしながら言えば、同じように烈司さんも言う。
「占いが出来るからと言って、万能じゃない。あくまで、手だすけする職業だよ。今まさに、困ってるお嬢さんのサポートとかね?」
「あ、ありがとうございます・・・。それではお伺いしますが、私はどうやっていじめっ子に対応すればいいですか?」
「そうだねー・・・・」
私の問いに、重ねていた手を強く握る。
「あ、れ・・・・LEONさん・・・・?」
「ちょっと集中させて。」
そう言ってもう片方の両手も重ねる。
両手で私の手をにぎる。
それにびっくりもしたけど、私を見る烈司さんの顔にもびっくり。
無表情で、冷たい目で、じっと見ている。
「・・・・やっぱり視えないな。」
「え?」
短く言うと、利き手を私から離す。
そして、めくったカードの1枚を見ながら言った。
「石になることだね。」
「石?」
「そう。いじめられてることを、先生に言って、ご両親に言って、『いじめられてる』と訴えた後は、何もしないでいる。」
「え・・・?」
なにもしない??
「やれることはやったっていう現実を作ること。」
「現実を作る・・・?」
「御嬢さんが、正しいと思う常識的な行動をすべてしたら、あとはなにもしないこと。」
「え!?なにもしない、ですか・・・?」
「うん。嫌だとは思うけど、そうしてくださいね。今は動く時期じゃないんだ。」
「時期じゃない・・・??」
「そうだよ。置かれている環境から考えても、派手に動かない方がいい。辛いと思うが、石になって空気として過ごした方がいい。」
(烈司さんのアドバイスはわかったけど、それってつまり――――――――――)
「・・・・・やられたら、やられっぱなしという意味ですか?」
「そうじゃない。もし、本当に耐えられなくなったときは、逃げなさい。」
そんな言葉と一緒に、私の手を握る力が強くなる。
「仏の顔も3度まで。我慢するのも、3回までです。」
「3回?」
「ええ・・・・今日からカウントして、『死にたいぐらいつらい』っていう出来事が3回続いたら、逃げて下さい。」
「ええ!?ど、どこへ!?」
不安な思いで聞けば、まっすぐに私を見つめながら言った。