彼は高嶺のヤンキー様2(元ヤン)
「へぇ~大した奴だな。ビビらねぇーで、笑ってやがる。」
「瑞希お兄ちゃん!?」
「ヤマアラシのことは心配すんな、凛。あれはこっちで処理するとして~」
「『ごじゅうあらし』ですよ、瑞希お兄ちゃん!ちょ、本当になにするんですか!?本当に大丈夫ですか!?」
不安な思いでツッコむ私に、笑顔で瑞希お兄ちゃんは言った。
「凛は、可児を助けてやることに集中しろ。烈司の話だと、相手は蛇の目だからな。」
「え?SHIELDじゃなくて?」
「多分な。凛のせいって言いたくねぇーけど、凛がきっかけにSHIELDの内部事情は変わってるみてぇだ・・・・。それは、他のチームにも言えることだろう。」
「え!?やっぱり、僕なんですか・・・?」
(変えるって・・・特別なことはしてないけどな・・・)
瑞希お兄ちゃんの言葉で考える。
SHIELDにかかわった時の記憶をふりかえった。
(私がしたことって・・・・タイマンしたり、バイクで族を蹴散らしたり、円城寺君にお弁当を届けて喧嘩して、初集会で警察や暴走族と・・・・)
「・・・・・・・・僕かもしれませんね。」
〔★思い出すのをキャンセルした★〕
「そんな顔するなって!ヤンキー的には、カッコいいぜ、凛?」
「お兄ちゃん・・・」
「たとえ凛が負けて引き揚げてきても、俺はなんにも言わねぇー。」
「出かける前から不吉な話!?」
「あはははは!そん時は、思いっきり抱きしめて、慰めてやっからよ!」
「なっ!?」
(慰める!?)
それも、抱きしめて慰めてくれるだと!?
「だから・・・必ず帰って来いよ?」
私の頭に手を添えると、優しく自分の胸へと押し付ける瑞希お兄ちゃん。
「行って来い、凛。」
「はい・・・!行ってきます、瑞希お兄ちゃん・・・!」
バゥン!バッバッバッ!!
バイクのエンジンをかける。
ガレージから見送る瑞希お兄ちゃんに手を振り、バイクを発進させた。
「いってきまーす!」
「行って来い!」
――――――――――バウゥウウウウン!
好きな人を残し、私はバイクと走り出した。