彼は高嶺のヤンキー様2(元ヤン)
瑞希お兄ちゃんと再会してから、この周辺の地理はほとんど覚えていた。
4代目総長デビューしてからも、続けているバイクの練習。
そのおかげで、単車での移動も慣れてきた。
ヤンキーらしく、なっていたと自分では思っていたけど――――――――――
(負けても帰ってこい、か・・・・)
可児君を助けることに関して、勝ち負けとか考えてなかった。
助けるということばかりで、そのためにはどう動けばいいかまで考えてなかった。:
(相手がヤンキーとなると、暴力もありになっちゃうかー・・・)
おまけに相手は、SHIELDではなく、物騒な蛇の目だとか。
「龍星軍総長として、瑞希お兄ちゃんの後輩として、負けるわけにはいかない・・・!」
助けに行って、やられるとかはナシだけど~
「・・・・負けて帰れば、瑞希お兄ちゃんからご褒美がもらえるからな・・・・♪」
ハグされて、優しい声で甘やかされたい。
慰めてほしい・・・!
〔★負ける可能性も考え始めた★〕
ピピピピ!
「え!?」
モヤモヤしながら、慰めてくれる瑞希お兄ちゃんを想像していれば携帯が鳴る。
「え!?嘘!?」
(もう電話がキタ!?)
「まさか・・・可児君が移動した!?」
そうなったら、電話すると言っていた。
「―――――――――もしもし!?」
嫌な汗が流れる。
〈よぉ、凛たん。〉
聞えてきたのは烈司さんの声。
「あ・・・烈司さん。」
(瑞希お兄ちゃんじゃなかった・・・・!)
〔★凛のテンションは下がった★〕
〈コラコラ、声のトーンが変わったぞ?〉
「気のせいじゃないですか・・・?」
〈どこがだよ?瑞希じゃないからって、ロコツだぞー?〉
「すみません。正直、がっかりしてます。」
〈うん、だからって、本音を申告しなくていいからな?〉
〔★凛のカミングアウト、烈司の声はトーンダウンした★〕
〈たく、妬けるな~?せっかく電話かけてやったのに、瑞希、瑞希ってよ?〉
「あ!?そうでした!電話を下さったということは――――――――!?」
烈司さんの言葉で思い出す。
瑞希お兄ちゃんは言った。
「なにかあれば連絡するっておっしゃってましたけど・・・・!」
(これって、何かあったに違いない!)
「どうしたんですか!?なにかあったんですか!?」
運転を気にしながら、張り詰める思いで聞けば―――――――
〈いや、別に。ちょっと、凛たんの声が聞きたくなってよ。はははは~〉
「なにかあってから、かけて下さい!!」
〔★なにもなかった★〕