彼は高嶺のヤンキー様2(元ヤン)




(顔を隠してる意味もあるのに、素顔で中に入りたくないよぉー!)




一応、髪の毛はウルフスタイルにしてもらったけど~~~



(バンダナは外したくない・・・・のど仏がないことがバレてしまったら困る。)



困るけど・・・・




〈凛、はずしたか?〉

「・・・・はずしました。」




瑞希お兄ちゃんが言うのだから、仕方ない。

言われた通り、口元のバンダナを下にずらして、首に巻くようにした。



〈じゃあ、さりげなく行けよ?単車のキーは、ちゃんとかけとけよ?〉

「はい。」

〈んん?なんか声が、さえぎられてねぇーか?〉

「あ、電波が悪いんだと思います。一本しか、電池も立ってないです。」

〈なんだ、それでか。〉



そうじゃない。

本当はそうじゃない。

口元のマスクを直しながら思う。





(ごめんなさい、瑞希お兄ちゃん・・・・やっぱり、凛道蓮は顔半分を隠すというスタイルをやめられません・・・!)





言われた通り、バンダナは外した。

その代わり、医療用のマスクはつけたけど。

バンダナでは隠してない。

医療用のマスクを装着したけど。



(ちゃんといいつけは守ってるもん♪)



〔★まるで一休さんだ★〕




〈凛、さりげなく、店へ近づいてみろ。〉

「はい!あの・・・電話はつないだままの方がいいですか?」

〈念のためな。凛から俺に、話しかけるなよ?俺から声かけるだけの方が安全だ・・・いいな?〉

「わかりました!では、行きます!」




瑞希お兄ちゃんの気遣いを受け、信号を渡る。

目的地は、レンガのような壁でできているモダンな建物。

周りにもお店が並んでるけど、そこだけ浮いていた。



(ジョニーズバー・・・・ハンバーガーの美味しいお店・・・・)



そして、可児が捕まっているらしい場所。

トコトコと歩いて近づけば、人の声が大きくなる。





「だからさー馬鹿なんだよな。あれは、自分に酔ってるぜー?」

「酔わして楽しいのは女だけだよなぁ~」



入り口に立ってしゃべっているのは、若い男。

ごついので、私より年上にしか見えない。

ドアの両側で、会話している。


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