彼は高嶺のヤンキー様2(元ヤン)
〈蛇塚菊千代だと、凛?〉
固まる私の耳に、瑞希お兄ちゃんの声が小さく届く。
〈凛、そいつだ!そいつが、蛇の目の頭で、蛇塚菊千代だ!〉
「はあああああああああああ!?」
(頭って、こいつがラスボス!?)
〔★いきなりクライマックスだ★〕
凛はフリーズする私の耳に、冷静な瑞希お兄ちゃんの声が届く。
〈しっ!デカい声出すな!そいつは見た目に反して、強いぞ!気をつけろっ!〉
(み、見た目って!?)
言われて相手へと視線を向ける。
胸が大きくあいたシャツ姿で、私の肩を抱いている若い男。
色白くて、肩まである金髪はウェーブをかいている。
(見た目も口調も軽そうで、ヤンキーのボスらしくない・・・。)
〔★凛も似たようなものだ★〕
もし、蛇の目の頭らしいところがあると言えば―――――
「すごい刺青・・・・・・・」
チラッと見えた胸元。
私の言葉に、相手は得意げに言う。
「ん?これは、タトゥーだ、タトゥー!大蛇が俺のラッキーアイテムだからな?」
そう言うと、頼んでもないのに上半身を脱いでみせる。
体中を覆うようにして刻まれている蛇の模様と、
「すごい筋肉・・・・・」
「お!?わかるか~!?俺は鍛えてるからな!はははははは!」
脱いでわかった、やせマッチョな体。
(・・・・それに比べて、私は貧相だ・・・・)
〔★凛は静かなダメージを受けた★〕
「お前良い奴だな、坊主!気に入った!」
「え?なんで?」
「こっち来て、一緒に飲むぞ!はははは!」
「え!?本当になんで!?」
蛇の目のリーダーはご機嫌に言うと、問答無用で私を引きずる。
〈おい、凛!なにしてんだ!?お前、可児を助けに行ったんじゃないのか!?〉
(そ、そうですけど~!)
〔★それは凛が一番わかっている★〕