彼は高嶺のヤンキー様2(元ヤン)
「・・・・・チッ!」
1人、屋上に残された大河はその場に座り込む。
ヤンキー座りで、タバコを取り出して火をつける。
教師はめったにやってこない。
煙をふかしていれば、屋上のドアが開いた。
「・・・よぉ。」
「チッ!・・・テメーかよ。」
やってきたのは、日光を頭に浴びて光っているハゲ。
五分刈りでも、意外と光るのかと思っていたら、相手が大河へと近づいてきた。
「もめたのかよ?仲間と?」
「カンナに会ったんか?」
「えれー不機嫌そうに、廊下を歩いてたぜ。」
「あの馬鹿女!ふてくされやがって、わけわからねぇー・・・・」
「わからなくはねぇだろう?」
座り込んだ大河を見ながら、可児良信が言った。
「高千穂、爆裂弾してることに『誇り』を持ってたんだろう?だから、凛さんの悪気ない発言に、無意識でキレちまったんだぞ?」
「ケッ!あれが悪気ないって言いきれるのかよ?」
「言い切れるな。オメーだって、そうだとわかってるから、高千穂のしたことを褒めねぇーんだろう?」
その言葉で、くわえタバコのまま表情を固める大河。
「凛さんの誘いに返事をしねぇーのも、意地なんだろう?」
「説教しに来たなら、俺は帰る。」
タバコを吐き捨てると、立ち上がって可児の横を通過する大河。
「円城寺!俺は、凛さんについて行くと決めた!」
そんな相手に、背を向けたまま可児は言う。
「俺は敵からあの人の仲間になる外様もんだ!けどな・・・受けた恩は返す主義だ。もしオメーらが今後、凛さんに妙な真似しやがったら、俺が許さねぇぞ!?」
「手下ふぜぇが、なにぬかしやがる・・・・!」
振り返らず、カンナと同じようなドアの開け方をして屋上を後にする大河。
(可児もカンナも、どうかしてやがる。)
階段を下りながら思い出す。
(可児が凛道にイカれるのはわかるが・・・・・オメーは意味わかんねぇぞ、カンナ?)
あの夜、可児を助け出した日のことを、大河は思い浮かべた。