彼は高嶺のヤンキー様2(元ヤン)
「お願い、カンナさん!龍星軍のメンバーになってもらえないかな?」
可児を龍星軍のメンバーにすると言った直後、カンナにまで龍星軍への参加を告げてきた。
カンナだけじゃない。
「ばっきゃろう!テメーカンナになんてことを!?」
「真面目なことですが?そうだ!よかったら、円城寺君も入ってくれませんか?」
(はあ!?俺も!?)
この俺まで、龍星軍のメンバーに誘ってきやがった。
(馬鹿にしやがって!!)
それが、聞いた直後の本音。
俺が頼みに頼んで、チャンスを得た龍星軍4代目の座をかけた戦い。
それを皇助さんの口添えがあったとはいえ、凛道が俺からその権利を奪った。
俺がなりたかった龍星軍の4代目総長になった。
(それがどれだけ、ムカついたことか・・・!?)
ぶっ殺してやりたいぐらい、憎かった。
龍星軍の総長の座も、瑞希さんからの寵愛も一身に受ける凛道蓮が憎い。
そんな俺の気持ちを知ってか知らずか・・・多分、わかってなかったと思う。
凛道蓮って奴は、ヤンキーらしくねぇ態度で、次々、ややこしい敵を倒していく。
挙句の果てには、男に厳しいカンナの信頼まで得ていた。
だから、龍星軍を一緒にしようってのも、幼稚園児が一緒に遊ぼうっていうノリで言ってきたんだと思った。
後先考えるより、やっぱりムカついた。
一言、文句を言ってやろうとしたんだが―――――――
「凛。」
俺より先に、カンナが声をかけた。
(この女!「仕方ねぇから、付き合ってやる♪」とか言うんじゃねぇだろうな!?)
不満はあるとはいえ、龍星軍は俺達の憧れ。
カンナがすると聞けば、秀と悠斗もやりたいと言いかねない。
(そうなりゃ、爆裂弾も消滅だろう!?)
そこら辺の線引きぐれーわからねぇのか!?
「カンナさん?」
のん気に名前を呼ぶ馬鹿に、カンナが近づいて行く。
(・・・なんだ、あいつ?)
妙にしおらしい。
大人しい。
静かすぎた。