彼は高嶺のヤンキー様2(元ヤン)
私、菅原凛の通う学校は、思ったより平和だった。
「見てよ~あれ!顔になんか張ってるよ~ゴミ子ちゃん?」
「きっと、フッチーにヤキ入れられたんでしょう?」
「ラッキーだったね?不細工な顔隠せて~?きゃははは!」
教室の真ん中から、教室の端の席にいる私へとムカつく電波が流れていた。
(馬鹿野郎・・・!これは、渕上じゃなくて、カンナさんからの一撃だ!)
頬に伝わる冷たい感触に、心の中で愚痴る。
イライラする私を、周りがさらにイライラさせる。
「あのまま、顔面かくせばいいのに~」
「てか、わざとらしいよね~まるで、いじめられてますって自己主張しててさ~」
「教室来なきゃいいのに。同じ空気吸うのも、結構我慢してるのにさ~」
「早く消えろよ、菅原~!」
悪口のオンパレード。
いちいち訂正を・・・やめてと言ってもややこしくなるので無言で無視するしかない。
(とはいえ・・・今日の攻撃は少ない。)
私への嫌がらせが減っていること。
その理由を、私は知っている。
「ホント、席替えしてくれてうれしいわ!」
「ちーちゃん、ゴミ子の後ろの席だったもんねー?」
「マジ、最悪だった!あいつからプリントまわされるの!触ったプリント使いたくないから、男子に交換頼んでたんだけど、みんな嫌がってさ~ホント、よかった~」
はい、そうなんです。
なんかね、一時間目がはじまる前に、席替えが起きたんですよ。
おかげ私は、前の方だった席が一番後ろへ移動ですよ。
後ろの出入り口の1番近くですよ。
(前の席だと、左右前後斜め前後の八方向からゴミを投げられたけど、ここなら前と後ろと斜め前で3方向からですむ。)
〔★一応、被害は減っていた★〕
(とはいえ、この席も安全地帯じゃない。)
「だからさ~」
「嘘だろ?馬鹿!」
ドン!
「痛!?」
教室に入ってきた男子が、私の後頭部をわざと殴る。
「やめて下さい!」
これに反論すれば―――――――
「うるさっ!」
「静かにしてよね~」
バシッ!
「痛っ!?」
真横に座ってる女子が、お菓子の包みを投げてくる。
狙って投げつけてくるのだ。