彼は高嶺のヤンキー様2(元ヤン)
「ほら、動くなっ!」
「わっ!?」
そう言って、後ろから刃物をあててくる男。
「動くと、動脈がキレるからな?」
「ええ!?急所狙い!?」
ご親切な脅しに、体を固めるしかない私。
「はははは!ビビって震えてるぞ!」
「噂が大げさすぎたんじゃないか?ガキじゃんか~オラ!」
「痛っ!?」
そう言って笑うと、右の奴が私の頭を叩いてきた。
「オラ!オラ!」
「俺にもやらせろよ!」
「馬鹿ガキが!」
ポカポカポカ!
「いたたたた!?ちょっとー!?」
1人が叩き始めれば、みんなでポカポカ叩いてくる。
気分はまるで、モグラたたき。
〔★まだお金はとれていない★〕
「やめて~痛い痛い!」
「だせーな、オイ!」
「録音するか~!?」
私の様子を見て、浮かれたムードになる車内。
それを見て思う。
(もしかしてこれ・・・油断させるチャンスかな?)
私が思うに、強そうなのは両隣と後ろの席の5人だけ。
車を運転してる奴と、助手席の奴は、下っ端っぽい気がした。
その証拠に―――――
「おい!後ろから誰も来てないだろうな!?」
「は、はい!来てないです!」
「コラ!今、運転があらかったぞ!蓮君に傷がつくだろうが!?」
「す、すみません!気をつけます!」
私の両隣からの指示に、ぺこぺこしていた。
〔★凛は何か思いつきそうだ★〕
とりあえず、自由になった手を胸にあてる。
わざと、プルプル震えながら聞いた。
「あのー・・・僕を誘拐して、良いことあるんですか?」
「けっ!それよりも、胸に手を当てて、わかったか!?」
鼻ピアスの問いに、プルプルしながら言った。
「わからないから聞いてます。教えて下さい。」
「はっはっー!いやだね、ぶぁ~か!」
そう言って、大口を開けて汚いベロを見せてきた。
これにまゆ毛を八の字にしながら男は言った。