彼は高嶺のヤンキー様2(元ヤン)
「ホント、ブラコンすね~?じゃあ、言いますけど~」
その様子にため息をついてから、カンナさんは話を戻した。
「『蛇の目』ってチームがあるのは、凛も知ってるよな?」
「今度教えとくわ、高千穂。」
「教えてないんすか、真田先輩!?つーか、凛への質問に先輩が返すってなに!?」
「お兄ちゃん、蛇の目って何ですかー?」
「飛翔連合の外様組だ。」
「獅子島さん。」
答えてくれたのは、お兄ちゃんはお兄ちゃんでも、瑞希お兄ちゃんじゃない。
私の向かい側でウーロン茶を飲んでいる眼鏡のお兄ちゃん。
「凛道、まだ飛翔連合は意識して忘れてないな?」
「はい、飛翔連合といえば、僕が旗揚げの時に絡んできたゾッキーですよね?」
「そうだ。24のチームで組織されているのが、飛翔連合だ。もとはその土地にいるチームで結成してる組織。昔々の徳川幕府で言えば、主人に仕える家臣を『譜代(ふだい)』、後から仕えた家臣を『外様(とざま)』という扱いだ。」
「へーそうなんですか・・・」
ん?じゃあ、その例えを出して説明したとなると・・・
「話に出ている『蛇の目』は、飛翔連合だけど、よそから来たチームってことですか?」
「そういうことだ。」
私の問いに静かにうなずくと、空になったグラスにウーロン茶を注ぎはじめる獅子島さん。
「蛇の目を今までのチームと思って、軽く考えるなよ、凛道。」
「軽くって・・・僕は相手をー」
「お前がどんな敵にも警戒心を忘れていないのは、観察していてわかる。」
「か、観察ですか?」
「いててててて!皇助さん、いい加減かんべんしてください!」
「わはははははは!」
外野の声がうるさかったけど、スルーして話に集中した。
「そのまま、気を抜かずに注意を続けろ。たとえ相手が赤子であっても、油断するんじゃない。」
そう語る表情はいつも通り厳しい。
だけど、目力がいつもよりあった。
だから聞いてしまった。