彼は高嶺のヤンキー様2(元ヤン)
「だめだぜ、瑞希お兄ちゃん。ジバニャングッズにつられて、知らない人から知らない人への手紙の受け渡しをする女の子から物を受け取ったら?」
そう語る男の腕には、ヘビのタトゥー。
(そうか、スネークって英語っで蛇!こいつらの正体は・・・!?)
「じゃ、の、っめ・・・・!?」
「あ!?おい、ガス利いてないんじゃねぇか!?まだしゃべってるぞ!?」
「ええ!?嘘でしょう~」
「早く黙らせろ!」
「わ、わかりました!」
そう言って、俺の口に布をあてようと近づく部下。
(くそっ!離せ!)
動かない体を、必死に動かす。
「う・・・くっ・・・!」
「暴れるな!マジで、まだ動きますね・・・!?」
「はは!さすが、龍星軍初代総長、真田瑞希。凛道蓮のアニキだけあるぜ?」
口をふさごうとする奴と一緒になって、そいつも俺を抑えたんだが。
チャ~チャラララ~
電話が鳴る。
音ですぐにわかった。
(俺の携帯!)
「うわっ!?」
「うわわ!?って、ビビんな!早く切れ!」
自分も驚いたくせに、ビビるなと言う男。
これに、俺の口に布をあてようとした部下が言う。
「え!?でも、こういう時は切らない方がいいって、推理漫画でやってましたよ?」
「馬鹿!しゃべれない奴の携帯に出て、どう言い訳する気だよ!?」
「そー、そーすけど・・・・やっぱ、やめましょうよ、蛇塚さん!」
「あ?どういう意味だ・・・・!?」
「だって、まずいですよ・・・・・組長にバレたら~」
ピッ!
〈瑞希お兄ちゃん?〉
「っ!?」
「え!?瑞希お兄ちゃんって~」
(凛!?)
突然、いるはずのない凛の声がした。
(まさか、俺についてきたのか!?)
ばか、逃げろ!
こいつら、変なガスを使って―――――――
(凛まで捕まっちまったら、シャレになるか!)
そう言いたいけど、声にならない。
どこにいるのか探そうにも、体がもう動かない。
だが、俺が探すまでもなく、凛の居場所はわかった。