彼は高嶺のヤンキー様2(元ヤン)
「あ!?お前、手っ!!」
「手・・・?げっ!?」
(手!?凛はどうした!?)
指摘する仲間の指先は、俺の口に布をあてようとする奴に向けられていた。
みれば、そいつの手が、地面に落ちた俺の携帯の通話ボタンに触れていた。
凛道蓮の文字が携帯に表示されてる。
(そうか携帯!)
それで理解できた。
(俺の携帯電話にかかってきたのを、間違って通話ボタンを押しちまったんだ!)
凛は電話口にいる。
俺のいいつけを守って安全な場所に――――――――――
「この馬鹿!」
ホッとする俺をよそに、蛇塚が怒鳴る。
そう言って、急いで取り上げて電話を切る。
「なにやってんだ!凛道だったじゃねぇか!?」
「す、すんまー!」
バキ!
「ぐあっ!?」
怒鳴り声に合わせ、俺の口をふさごうとした奴が殴り飛ばされる。
「ここで、バレたら台無しだぞ!クズが!」
「ず、ずびばぜ・・・・!」
(ありゃあ、前歯いったぞ・・・。)
殴り飛ばした奴から布を奪うと、不機嫌そうに蛇塚が俺を見る。
「悪いな、初代龍星軍総長さん。あんた使えば、俺もいろいろ気分がよくなるんでな。」
そう言って近づき、俺の口元に布をあてる。
途端に、意識が薄れていく。
「くっ・・・・・!?」
(やっぱ、意識を奪う薬か・・・!?)
チャララ~チャラララ~
再び、俺の携帯が鳴る。
「蛇塚さん!またっす!」
「ほっとけ!どうせ、凛道だ!出なけりゃ出ないで、仕事中だと思うだろう!」
「そ、それもそうですね・・・!」
もっともな意見に、周りの仲間達はうなずく。
(り、ん・・・・)
こいつの言う通り、あれは凛の声だった。
お兄ちゃん、お兄ちゃんと、ちっちゃいガキみたいに、俺を呼ぶ声。
聞き間違えるはずがない。
俺の可愛い・・・・
(凛の声だった・・・・。)
そう思った時、深い眠りに落ちた。
ピンチの後の仰天ニュース!ヤンキーライフはサバイバル!?~完~