彼は高嶺のヤンキー様2(元ヤン)
他の3人が追い付いたところで、階段から外に出る。
各部屋へと続く廊下。
重たい冷蔵庫を持っているふりをするのは、私を含めた5人。
問題の部屋はすぐに見つかった。
「じゃあ、秀君頼んだっよ。」
「ああ、任せておけ。」
蛇塚と英語表記された部屋の前で、秀君に茶色の封筒を渡しながら告げる。
「きっと、蛇塚は出てこない。代理の人が出たら『身分証明書』を持ってこさせて下さい。」
「郵便物に、身分証明書とかいるのかよ、総長さん?」
「いるよ。すべての荷物で必要じゃないですけどね。クレジットカード類や高価な当選品だと、必要になってきます。だから今回も、当選品のお届けということにするんだ。」
「なるほど、さすが『ジャック・フロスト』。」
「褒めるのは獅子島さんだよ。」
私をたたえる相手に、苦笑いしながら教える。
「全部、獅子島さんの指示ですよ。どうやって調べたのか知らないけど、蛇塚が大のゲーム好きで、高価な限定品ソフトに当選していることを突き止めたからね。」
「そこまで聞けば、上等だ。行ってくる。」
宅配業者らしく、片手を上げてインターホンへと向かう秀君。
私達は、少し離れた場所で、視えないように待機。
ピンポーン!
「はい?」
「すみません、宅急便なんですが、蛇塚菊千代様のお宅でよろしいでしょうか?」
「そーですけど?」
これに秀君は、インターホンに映らないように、私達に向けて手を振る。
蛇塚本人じゃない時の合図だった。
「やっぱ、本人は出ないみたいだぜ、凛?」
「そんな気がしました。」
カンナさんの言葉にうなずきながら、計画通りの光景を見つめる。