彼は高嶺のヤンキー様2(元ヤン)
「今日お持ちしましたのが、〇×ゲーム会社のフィーバー号の当選品で、幽霊ウォッチのゲームなんです。」
「あ!あのめちゃくちゃ喜んで・・・いや、嬉しかった一等の当たりですか?」
その声の後で、すぐにドアが開くが施錠されている。
しかし、即、突入は出来ない。
「サインで良いんだよな?」
チェーンの間から言う蛇塚じゃない奴に、秀君が言った。
「いえ、こちら高額商品ですので、身分証明書のご提示をお願いします。」
「はあ!?本人だぜ?見せたことにすればいいじゃんか?」
「それは困ります。」
嘘を言う相手に、変わらぬ表情で秀君が切り返す。
「機械で身分証明書を読み取る作業があるんです。」
そう言いながら見せた機械は、捨てられていたスタンガンを少しだけ悠斗君が改造した物。
それをサッと見せてひっこめながら秀君は言う。
「これでお客様の情報をうちの会社だけではなく、ゲーム会社にも転送しないといけないんです。今回のゲームのモニターもお願いしたいので、その件に関しても、ご承諾を得たいらしくて~」
「な!?そこまでするのかよ!?」
「発売直後とはいえ、すでにプレミア商品ですから。今日、ご提示できないとおっしゃるのでしたら、また日を改めてお届けに上がります。私も、あまり高価な品を持って、これ以上歩き回りたくないので。」
「ま、待て!わかった!すぐに用意する!待ってろ!」
秀君の言葉に、かなり慌てた様子で部屋の中へと引っ込む代理人。
「上手な演技ですね。」
「秀は、ポーカーフェイスだからな。」
私の言葉に、円城寺君が嬉しそうに言う。
その姿だけで、どれだか仲間を大事にしてるかわかった。
「おい!」
そんな私達に、小声で秀君が手招きする。
待ちに待った合図だった。