彼は高嶺のヤンキー様2(元ヤン)
足音を立てないように、ぬき足さし足忍び足で近づく。
扉のガラスに、体が映らないようにしながら、左右の壁に張り付く。
「僕が合図したら、突入します。いいですね・・・?」
危険な役に立候補。
てっきり、円城寺君が反対するかと思ったけど。
「わかった。オメーに任す。」
(あれ?あっさり??)
〔★大河は従った★〕
意外と素直に聞いてくれた。
その顔は私を見ておらず、部屋の方ばかり気にしていた。
(そっか・・・私に構うよりも、瑞希お兄ちゃんが気になるのね~)
話が進むから、いいけどさ~
「ほな、わしがドアを開けたるわ!」
「ヤマト。」
「声がデカいぞ、おい!」
「うはははは~すまんのぉ~生まれつきでのぉ~!」
「わかった、わかった。開けていいから、声は小さく!」
「うはははは~なんか、リクエストあるかー?」
「リクエストって・・・」
「敵に向けての一撃ヤン?なんなら、飛ばしたろかー?」
「そうだね・・・じゃあ、飛ばすつもりで開けて下さい。」
「任せとき~うははは~」
小声で言えば、何度も首を縦に振る。
声も少しだけ小さくなった気がした。
それでピリピリした空気も収まり、ホッとしながら中の声をうかがう。
《こいつ、前からムカついてたんです。》
《はは!そういうことかー?》
(瑞希お兄ちゃん!?)
最初はどうでもいいけど、2番目に聞こえた声は間違いない!
「おい今の、瑞希さんの声だ!」
「やっぱり、ここにいたんだな?」
「うはははは~ビンゴ~」
みんなが言うように、みんなが知ってる瑞希お兄ちゃんだった。
いた!本当にいた!
(誘拐された瑞希お兄ちゃんは、ここにとらわれていた・・・!!)
間違ってたらどうしようと思っていたので、ホッとした。
〔★凛の安心感が増した★〕