彼は高嶺のヤンキー様2(元ヤン)
改めて、瑞希お兄ちゃんの違いを考えてから相手を見る。
チャラオとヤンキーの中間みたいな奴で、本当に顔は良い。
運動神経もいいらしく、時々運動部の助っ人を頼まれている。
そんな男が、なぜ私に話しかけてきたのか。
(用件はわかってる。)
「お・・・おはよう、飯塚君。」
「うんうん、おはよぉ~!実はさ、菅原さんにお願いがあるんだけどー」
挨拶を済ませば、相手はニコニコしながら言った。
「今日の数学の宿題、見せてくれねぇーかな?俺、あてられそうなんだよね~」
(そうだと思ったよ、ボケ。)
〔★答え写しの要請だった★〕
別に、宿題を見せることはかまわない。
私も、宿題のプリントを忘れ、友達にあてられそうなところだけ、見せてもらってしのいだことがある。
緊急事態もあるのでお互い様。
でも・・・・・・・・世の中には、宿題を見せていい人と悪い人がいる。
(この飯塚の場合、見せたくない奴なのよね・・・・!)
だから毎回、ささやかな抵抗をするのだけど―――――・・・・
「わ・・・私でいいのかな?他にも頭いい人が~」
「菅原さんでいいんだって!字はきれいだし、わかりやすいし~」
(粘るな、こいつ!)
〔★あまり効果はなかった★〕
まるで自分が弱者の様に、すがりながら飯塚は言うのだ。
「お願いだよぉ~俺、菅原さんじゃなきゃダメなんだよ!ねぇ、この通り!一生のお願いっ!」
「い、飯塚君。」
甘えの混じった声で言う男子。
それを聞いて私は思う。
(お前、先週も一生のお願いって言ったよな!?)
お前の一生は何回あるんだよ!?
〔★今日の凛は、心のツッコミが多い★〕