彼は高嶺のヤンキー様2(元ヤン)
最初の異変は、関西弁の男子に会った後だった。
「おはよう。」
「おはよう、凛ちゃん。」
「おはよう、今日から暑くなったね?」
「そうだね、マキちゃん、夏美ちゃん。」
教室に入り、クラスの仲良しとあいさつを交わす。
友達の青木マキちゃんと、井上夏美ちゃん。
彼女達と話しながら、カバンを置いて席につく。
「凛ちゃん、さっき聞いたんだけど、今日の英語は英英辞典を使うらしいよ。」
「え?そうなの?いつもは使わないのに?」
「きっと、持ってきてるかどうかのチェックするんだと思う。英和か和英があれば、使わないよね。」
「最悪だよね~出席点にも加算するらしいよ。私、隣のクラスの子から借りちゃった。凛ちゃんは平気?」
「あ、私は大丈夫だよ。置きっぱなしにして~・・・」
(あれ?)
机の横にかけてる手提げを見て思う。
(ない・・・?)
いつもは、英の字が見えるのに、今日は目に入ってこない。
他の教科書の下になってるのかと思って、持ち上げてみる。
(軽い・・・?)
急いで中をのぞく。
「ない!?」
あるはずの英英辞典がなかった。
「え?どうしたの、凛ちゃん?」
「そ、それが・・・置いてたはずの英英辞典がないの!」
「ええ!?」
「家に忘れてきたんじゃなくて?」
「そんなはずないよ!置いてあるのを、見て帰ってるから・・・・」
(どうしよう!今日、授業で使うっていうのにないなんてー!?)
「おかしいな・・・他のところに置いたかな?」
机の中をのぞいて見るが、見当たらない。
「凛ちゃん、後ろのロッカーに入れたんじゃない?」
「そうだったかな・・・?」
マキちゃんに言われて、席を立つ。
「手分けして探そう!私達が机の方を見るから!」
「ありがとう。ちょっと見てくる。」
疑問符が浮かぶ頭で席から離れる。