私の上司
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ご飯を食べ終えるとタオルと着替えを持ってお風呂に向かう一ノ瀬さん。



着替え持ってないなぁ、なんて考えながらぼんやり彼の背中を眺めていると




「…お前も入る?」




なんて私が一気に赤面しちゃうような事普通に言っちゃうんだから。




『大丈夫です!1人で入りますから‼︎』



私の動揺っぷりに"バカ"って笑いながら浴室に消えて行った。





再びソファに腰を下ろすと香る一ノ瀬さんの香り。




ふと隣に小さな机を見るとオシャレなキャンドルが三つ並べられていた。


キャンドルなんて焚くんだ…






「…いい香り」






爽やかで、でもどこか甘い香りが私を包んで安心させてくれるよう。





浴室から聞こえるシャワーの音にドキドキしながらギュッと自分の拳に力をこめた。





大丈夫…





大丈夫…






言い聞かせながらも一体が起こるのか見当もつかないなんて。



一ノ瀬さんがお風呂から出た音が聞こえてきて。




「着替えは俺のスウェット貸してやるから風呂入ってこいよ。」




髪から水滴をたらしながら
スーツ姿ではあまり想像出来なかったラフな格好で私にタオルを渡してくれた。





『…ありがとうございます。』





私がタオルを受け取ると





「…変な心配すんな。」





そう言ってクシャっと髪を撫でてくれた。



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