私の上司
.


浴室に向かうとミルク色のお風呂が私を迎えてくれた。







…一ノ瀬さんが浸かったお風呂




なんて考えちゃう私は少し変態みたい。





鏡に映る私は何処か不安げだけれど。


ミルクの香りのお湯は凄く温かくて安心出来た。





シャンプーもボディソープもきっと高級なんだろうな、なんて思いながらシャンプーを手に出すと

一ノ瀬さんの香りがして、思わず口元が緩んだ。





入社当初はあんなに遠くに感じた彼がなんだか凄く近く感じて…。



一ノ瀬さんと同じ浴室を使用させて貰うなんて今までは想像も出来なかったけれど。





好きとか、



愛してるとか。





そんな言葉を直接彼から聞いた訳では無いけれど。






…きっと恥ずかしい思いをして買ったウサギさんも





…色々努力しようとしてくれている事の証の本も





…時々見せてくれる優しさも






全部、私の中で"愛"に変換されてるの。





眉を下げて笑いながらさ、
バカって言われても




その瞳は私をキラキラと映し出してくれる。






まだ分からない事だらけで。





貴方の心に寄り添える自身なんてないけれど、




今は…


側にいるね。


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