私の上司
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二人で横になったベッドは

二人で使うには少し狭くて…




体が密着してしまう。






ドキドキしている胸の鼓動が一ノ瀬さんに聞こえてしまうんじゃないか、



そう思うと一ノ瀬さんの顔が見れなかった。





「暑い?」




クーラーのリモコンを片手に私の顔を覗き込んだ一ノ瀬さんの顔は少し眠そう。



早く寝ないとね、明日も会社あるんだし。




『丁度いいですよ。』





そっと、


さりげなく一ノ瀬さんの胸板におでこを寄せると



静かにギュッとまた抱きしめてくれた。





私と同じ香りがする一ノ瀬さんの胸の中で、
そっと瞼を閉じた。




一ノ瀬さんの腕の温もりがとても温かくて…


すぐに私は夢の世界に行く事が出来た。







…shuto side…






ギュッと抱き寄せた体は俺が想像しているよりも小さくて。






でも、それでも
夏の暑さとは違う温もりを俺に伝えてくれるようだった。






二人で作ったハンバーグ。





無茶苦茶うまかったのに花凛にそんな事素直に言えねぇ俺が情けなくて。





少し家庭的な一面が覗けただけでより、花凛を愛おしく思ったのにさ。






きっと夜空では今日も都会の光に負けないように星が輝いてる。





片手で顔を覆いながら、







「…愛してる」







もう寝息をたてている花凛の耳元で囁いた小さな俺の本音。


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