1位の彼女と2位の俺~嘘から始まる恋~
「ただいま~」
と家のドアを開けると、リビングから【おかえり~】と母親の高い声が聞こえる。
「あれ?梨花ちゃんは?
今日は仕事なの?」
俺が1人で帰ってきたことに、ちょっとガッカリした様子で、母が玄関に顔を出した。
「梨花は、担任と進路のことで話があるから、先に帰っててって言われたんだ。」
「そうなのね~。
梨花ちゃん…成績優秀なんでしょ?
進路で悩んでるの?」
不思議そうな母に、
「……どちらかと言うと逆。
担任が諦められないって感じかな。」
「諦められない?」
「梨花は成績優秀だけど、仕事をいっぱいしたいから大学行かないって言ってるんだ。
就職希望って担任に言ったら、慌てちゃって…。
仕事は大学に行ってからでも遅くないって、説得されてる。
でも…梨花の親は、自分の本当にやりたいことを精一杯やりなさいって、応援してくれてるらしいよ。」