1位の彼女と2位の俺~嘘から始まる恋~
「あのね…未来「あのさ……梨花。」」
私の言葉は、未来の言葉に遮られる。
「今から俺、学会に向かうんだけど、その後…日本で美咲の結婚式だろ?
良かったら、日本で俺と話をする時間、作ってくれないかな?」
気まずそうに話す未来に、フフッと微笑んで言う。
「私も…話したいと思ってた。
私の連絡先教えておくから、未来が落ち着いたら、連絡ちょうだい…待ってるから。」
そう言って、自分の名刺の裏に携帯番号を書いて、未来に渡す。
名刺を渡す際…未来の指に僅かに触れると……
それだけで私の指先が熱くなるのが分かった。
たった少し…触れただけ…。
10年前は、この腕に……何度も何度も抱きしめられていた。
なのに……
もう二度と…この腕に…
抱きしめられることはないのだろうか?
「じゃあ梨花。
また日本に着いたら連絡するから。」
未来がニッコリ笑ってそう言った。
私も微笑むと、日本への飛行機に乗り込んだのだった。