お前、可愛すぎて困るんだよ!
「……なんで?」



「決まってる。
すっごく心配しちゃうから」



駅の改札を通りながら、翠くんが妃莉を振り返った。



「わかった?
妃莉ちゃん。
ふたりだけの秘密だからね」



「んー、でもぉ……」



「なに?」



駅の階段をあがりながら、翠くんが妃莉を見た。



その目がとても強かったから……。



ちょっとうつむきながら、妃莉は言った。
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