お前、可愛すぎて困るんだよ!
その顔は、好きな男の前だけにして。
「うぅ……。
もうそろそろ……いいかな?
みんな……帰ったかな?」
植え込みの陰で隠れていた妃莉は、きょろきょろ、あたりを見回した。
今日時計を忘れてきたから、時間がわからないんだけど……。
もうずいぶん、ここにいる気がする。
本当なら、妃莉、球技大会の実行委員だから、表彰式のお手伝いだって、後片付けだって、お仕事はたくさんある。
あるんだけど……。
あんなことを叫んだあと、さすがに、みんなの前に顔を出す勇気はない。
だから、たぶん……授業を含めて、初めてのサボリというものをしてしまった。