禁断の果実
―翌日
朝早くから絢芽が出かけた。
俺が起きたのは9時。
母さんに聞くと、絢芽が起きたのは
5時だったらしい。
いつも朝寝坊の絢芽が・・・
俺は一瞬彼氏が羨ましくなった。
いや、ずっと羨ましかった。
絢芽とデートだと
母さんに普通に言える。
人前でキスすることも、
絢芽を抱くことさえも
普通にできるソイツが・・・
俺は、絢芽の作った
ベーコンエッグを口に入れた。
「絢芽ったら今日はどこで
遊ぶのかしら」
遊ぶ・・・?
何をして遊ぶんだ?
そんな思いを胸に秘めながら
俺は言った。
「どこで待ち合わせか知らないけど
後で家に来るとか言ってたよ」
冷めたベーコンエッグとは反対で
湯気の出ているコーヒーを口に含む。
やけどしそうなほど熱かったが、
今はそれどころじゃない。
コーヒーのカップを、静かに置いた。