禁断の果実


ピンポーン

家全体にチャイムの音が響く。

「はーい」



母さんが、笑顔で客人を出迎える。



「あらあら、まあ」

そんな声とともに、聞きなれない
男の声がした。
誰かは分かっていた。

たぶん顔を出さなきゃいけないことも。




「翔ー?おりてきなさい」

今はそういう気分じゃないんだが・・

俺は渋々持っていた文庫本を置き、
冬の冷たい床に足を下ろした。


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