blood and tear ～歪んだ世界～

しかし、彼女がヴァンパイアでないとするならば何故僕を見ていたのだろう、、、


彼女の横顔は美しい顔立ちをしていたが、その表情は悲観を感じさせるものだった。


その悲しみに溢れた表情の先には、校門の前で合った時と同じように、丘の下に広がる町並みがあった。


彼女の姿を見た時、何故だろう、表情に見覚えがあるような気がした。


篠崎と出会う前、僕は酷い孤独感の中に生きていたような気がする。


あまり覚えてはいないのだが、それは暗く、冷たく、そしてとても苦しい。まるで檻の中に閉じ込められているようなそんな感覚……


どうしてなのか、会ったばかりの筈の彼女が、自分と同じことを感じているような気がした。


彼女をまた助けてあげたい、そんな風に思った。