二百文字小説【小さな玉手箱】
《51.教える者の務め》

 私が担当したクラスには要注意人物とレッテルを貼られた生徒がいた。

 強きを挫き弱きを助ける。そして、うられた喧嘩はかう負けず嫌い。

 そんな彼の気質を誰も気づいてはいなかった。

 これを見抜いてあげるのが教師の務めだ。

 そう考えた私がある場所を紹介すると、彼は行ってみるとだけ答えた。

 今も彼は要注意人物だ。

 スポーツ新聞には彼の顔写真。対戦相手も要注意だとコメントしている。

 プロボクサーか。私もなりたかったんだよな。
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