二百文字小説【小さな玉手箱】
《52.駄菓子屋》

 妻子と一緒に帰省した。

 ところが息子はすぐに飽きたのか、暇だと言いはじめる。

 その時、近所の駄菓子屋を思い出した。

「僕行く! どこにあるの?」

 はしゃぐ息子を連れて駄菓子屋に行くと、皺の増えたおばさんがいた。

「昔のあなたにそっくりじゃない」

 よく通っていたとはいえ、覚えていたとは驚きだ。

「金額は消費税込みだよ。足し算しながら買ってごらん」

 変わらない計算方式。昔もそうだったな。

 わたしも百円分の駄菓子を選んだ。
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