二百文字小説【小さな玉手箱】
《54.真偽》

 ネットで女の子と知り合った。

 十代でありながら、常に気を遣う優しい文章に惹かれた。

 彼女も二十歳である俺に好意を持ってくれている。

 今日も彼女と会話をした。

 俺は首席で大学に入学した。サークル活動では北と南アルプスの全山縦走もしている。

 これに興味を示してくれる彼女との会話が心地よい。

『今度、会えませんか?』

 そんな彼女からの嬉しい誘いが。

 けれど会えない。

 リアルの僕は封印中。ネット上の僕は創作人物なのだから。
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