契約結婚の終わらせかた



バサッと音がして、くるみさんの体に黄色いパーカーがかけられた。


「ダメだよ、ハニー。君の魅力的な肌を見せたら世界中の男が見惚れてしまう。僕だけの君でいておくれ」


後ろからギュッと妻を抱き寄せる葛西さんは、とてつもなく甘い声ととろけそうな笑顔を彼女に向けて。独占欲丸出しなまま……アチチチチ。


「まぁ~良介さんたらぁ、うふふ。や·き·も·ち·や·さん~かわいいんだからぁ」


プニ、と葛西さんの頬っぺたをつつくくるみさん……。


2人の周りだけピンク色の世界が広がってますね、ハイ。


「ああなると放って置くのが一番だよ。真理ちゃん、一緒に砂遊びしよ!」

「砂遊び、する!」


達観した2人の娘である千尋ちゃんは、年齢が近い真理ちゃんを誘う。


「お兄ちゃんも一緒!」


真理ちゃんは兄の賢くんの手を握りしめて離さず、彼も渋々参加する羽目に。


「あ、賢ってば! 一緒に泳ぐ約束したじゃん」

「悪ぃ! また後でな」


どうやら心愛ちゃんは賢くんと遊ぶつもりだったらしいけど、妹を優先したことで拗ねたらしく膨れてた。


「なによ、賢のバカ! シスコン!!」


ぷりぷり怒って大股で歩き出した心愛ちゃんの後ろに、大地くんが着いてく。


「こ、心愛姉ちゃん。よかったらオレと」

「サルが泳げるわけ?」

「さ、サルじゃないやい! これでも頑張って10m泳げるようになったんだからな」


何だかんだ言って子ども達は楽しそうだ。はあ、とため息を着くといつの間にか空くんが隣にいた。


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