ツンツンな彼の攻略法【完】
「ひなが倒れた瞬間に駆け寄って来たんだよ。もう私の出番なんてない速さでひな抱えて保健室行ったんだよ〜」
「う、そ…」
想像するだけでかぁぁぁと熱を持つ顔。
「お姫様抱っこなんてされちゃってさ〜」
茶化すようにいうかのんに私はもう放心状態。
…ああ、その一部始終誰か動画撮ってくれてないのかな。
「私、涼介くんに謝ってくる!!」
咄嗟にベッドの上から飛び降りドアに向かう私をかのんが制御する。
「バカ、あんた倒れたばっかりなんだよ?今日は大人しく帰りなさい。」
「…はーい。」
ああー。涼介くんに会いたかったな〜。
お姫様抱っこなんて夢みたいだ。
…私絶対重たかったよね。…こんなことならダイエットしておけばよかった。涼介くん骨折しちゃったんじゃないな。
その晩はそのことばっかり考えて心がぽかぽかして、よく眠れなかった。